映画『ゲストハウス 14Camera』の感想・ネタバレ:オッサンよ永遠に

鳥頭N
原題:14 Cameras 制作:2018年 アメリカ © 2017 ZED’S DEAD, LLC All Rights Reserved

セス・フラー、スコット・ハッション監督の映画ゲストハウス 14Cameraを観たので、作品情報につづいて感想を書き残しておきます(すぐ下はネタバレなしの感想)

視聴方法はU-NEXTの見放題配信。

ラスト・結末までの簡易的なネタバレは「あらすじ」の項に隠し表示してあるので、鑑賞後のおさらいや、予習用に読みたいという方はそちらを参照のこと。

前作の感想・ネタバレはコチラ
映画『アブノーマル・ウォッチャー』の感想・ネタバレ:ドロドロ不倫には腐ったマヨネーズを添えて
映画『アブノーマル・ウォッチャー』の感想・ネタバレ:ドロドロ不倫には腐ったマヨネーズを添えて

映画『ゲストハウス 14Camera』の作品情報

監督

  • セス・フラー
  • スコット・ハッション

脚本

  • ヴィクター・ザーコフ
    ※前作)映画『アブノーマル・ウォッチャー』(2015):監督・脚本

役名/キャスト

  • モリー/ブリトニー・ラトレッジ
    映画『セクシャル・ソロリティ 女子学生社交クラブ』(2020):キャシー役
  • ダニエル/アンバー・ミッドサンダー
    映画『プレデター:ザ・プレイ』(2022):ナル役
  • ジェラルド/ネビル・アーチャムボルト
    映画『ブロックアイランド海峡』(2020):トム役
  • クレア/ブリアンヌ・モンクリーフ
  • ジュニア/ギャビン・ホワイト

予告編(海外版)

あらすじ

夏休みを利用し、とある家族と娘の友達が人里離れた家を借りる。しかし、一見理想的な家で何者かの気配や物がなくなったりと不可解なことがたびたび起きるように。その家には至るところに監視カメラが仕掛けられていて、全てライブストリーミングしていた。

Q
映画『ゲストハウス 14Camera』ラスト・結末のネタバレ(※押すと開きます)

家族が訪れたゲストハウスのオーナーは名をジェラルドという。

彼は以前から管理物件での窃視を繰り返しており、ある新婚夫婦の暮らしを覗き見していた際には、夫らを惨殺したのちに妊娠中の妻クレアを誘拐&監禁し、やがて生まれてきた子どもを「ジュニア」と呼んで家庭に迎え入れるなどの悪行を重ねている人物だった。

そんな彼の配信は、視聴者も異常な性癖を持ったユーザーばかりで、やがてコメント欄には「彼女の下着を盗め。5000ドルで買う」などの過激な発言をする者まで現れる。

はじめこそ彼らの要望に応え、侵入や下着泥棒のスリル、衣類から匂い立つ女性の香りに興奮するジェラルドだったが、視聴者の欲望はとどまることを知らない。「彼女を売ってくれ」「俺が直接さらいに行くよ」といったコメントが相次いで寄せられるようになると、ジェラルドはコメント欄を閉鎖するが、そのときにはすでにゲストハウスの住所を割り出した有志が現地に向かっているところだった。

一方、自身の下着がなくなったことに気づいたダニエル(一家の長女モリーの友人)は、それをモリーの弟カイルによる犯行だと決めつける。冤罪によって非難されるカイル。肩身の狭くなった彼は両親のデートに同行し、家を出る。

そんな家族の不在を利用して、ゲストハウスに侵入する者がいた。ジェラルドの配信を見ていた過激な視聴者だ。彼はモリーとダニエルを拘束するものの、そばで見張っていたジェラルドによって撲殺される。ちょうど一家が帰宅したため、急いだジェラルドはダニエルのみをトラックに詰め込んで帰路につくが、彼はそこである事態に巻き込まれる。

なんと、我が子のように育て上げたジュニアが母クレアを解放しており、トラックからの脱出に成功したダニエルとともに脱走したのだ。ジュニアは自宅に次々と届くカメラ機器や、ひんぱんに外出を繰り返すジェラルドを不審に思っていた。そこでひそかに彼を尾行したところ、行き着いた先で監視モニターの存在を知り、ことの真相に気がついていたのだ。

脱走の途中、エンジンの故障により、ジェラルドに追いつかれそうになる3人。しかし、機械に明るいジュニアの助力によってトラブルを乗り越えると、機転を効かせたクレアがバック発進でジェラルドを引き倒す。3人はピクリとも動かなくなった彼を横目に走り去っていった。

数時間後、この一連の事件の犯人逮捕に動く警察は、現場付近の道路でひとりの遺体を発見する。しかし、それはジェラルドのものではなく、おそらく道端で倒れる彼を助けようと車を降りた女性のものと推測された。

事実、ジェラルドは生きていた。女性を殺し、車を奪った彼は遠くメキシコの地で新たな生活を始めようとしていた。

映画『ゲストハウス 14Camera』の感想

© 2017 ZED’S DEAD, LLC All Rights Reserved

キモいオッサン大家による“窃視系”スリラー『アブノーマル・ウォッチャー』の続編。

前作のラストが非常に“その後”の気になるものであったために観てみたが、これはよかった。シリーズとしても、ひと回り成長しているのが見て取れる。

物語は新たな舞台、ゲストハウスで展開される。新たなといっても、前作の舞台が借家であるので、そうガラリと印象が変わるわけではない。オッサンが家中に監視カメラを仕掛け、モニター越しにプライベートを覗き見しては目ガンギマリ、口ハンビラキで愉しんでいるという構図も変わらない。

ただ、前作にあったような臭気ただようキモさという点においては、サッパリとなくなってしまっているように思える。

冬だというのに汗ジミのベッタリついたシャツを着ていた彼が「えーと、ユニクロで3日前?に買いました!その日からずっと着ていまーす!着心地いいでーす!(初夏)」とでもいうような、わりかし小綺麗な格好になっていたのはすこし残念に思ってしまったところ。

それでも新キャラがブワッと増えて作品全体がボリュームアップされていた(が、あんまり新キャラに思い入れがないといえば、それはそう)し、オッサンによる盗撮動画のライブストリーミングは彼のキモさをグン!と引き上げることに寄与するとともに「そんな社会性があったのか!」とツッコミたくなる、おもしろいアイデアだった。

序盤、ゲストハウスの利用客が冷蔵庫に残っていたジャンクフードを嗅いで「古いマヨネーズのニオイ」と言ったり、オッサンがこれみよがしに彼女らの歯ブラシを使ったりと、前作ファンへのサービスシーンと思われる箇所が見られるのもまたニクい。「あぁ……戻ってきたんだなぁ」と感じる。まるで実家のような安心感だ(あ、これは言葉のあやです。こんな実家はイヤだ……)

それでもやはり、いちばん「あ、いいな」と思ったのは、本当にここが実家になってしまったジュニアの“その後”の描き方だった。これはハラハラした。

前作のラストで映された、オッサンの車の助手席に座らされている赤ん坊の姿。これまでを観ている側としては「え、この子、クレアの……」と絶句モノだった。

本作はその世界線を引き継いで作られているのだから、鑑賞する側としてはジュニアのことが気にならないわけがない。

「オッサンに引き取られた子どもがマトモに育つわけがない」

「知りたいけど知るのが怖い」

そういう視点で観る側が本作を鑑賞するであろうことを、制作側はあきらかに意識していた。で、それにまんまと引っかかってしまった!

一瞬、幼少期のオッサン?と見紛うほど、生き写しのような見た目のジュニア。オッサンの行動を不審がって追跡したところ、部屋いっぱいの監視モニターを見つけてしまうジュニア。そして、画面を切るでもなく、口ハンビラキで見つめるジュニア……

正直、物語が終わっても、彼がけっきょく“どっち”なのかわからない。窃視行為に拒絶反応を見せているのか、それとも魅入られているのか……

本来なら両親からたっぷりの愛情を注がれるべき時期にそれを受けられていないネグレクト状態だし、クレアによるオッサンへの反撃を見てあの反応、単にショックとかいうものじゃない気も……いやー、ほんとどっちなんだ!?

なんとなくだが、しばらくはクレアとの新たな生活を順調に送るものの、あの日、あの場所で見たモニターが忘れられず……とかいう展開になりそうで怖い。怖いとか言いつつ、ちょっと楽しみにしちゃっているんだけども。キモジュニアサーガ。

それはそうと、オッサンのその後も良かったな。彼にはもう諸国漫遊でもなんでもしてほしい。行く先々の文化を取り入れた窃視シリーズの制作を強く希望する。

……と、ここまで書いて、軽く推敲をしながら、シリーズ3作目となる続編の『15 Cameras』について調べていたところ、オッサンことジェラルドを演じたネビル・アーチャムボルトの名前がないことに気がついた。

なんと彼は2022年に66歳の若さで亡くなられていたとのこと。知らなかった……御冥福をお祈りいたします。

オッサンよ、永遠に。

ABOUT ME
鳥頭N(トリアタマ エヌ)
鳥頭N(トリアタマ エヌ)
映画ブロガー
ホラーやアクション、ヒューマンドラマといったジャンルが好きな20代男性。物忘れのひどいThe鳥頭。脳トレがてらに感想ブログを始めましたが、たいしたことは書いてません。書けません。
記事URLをコピーしました